所得税のしくみ
現在、3級ファイナンシャル・プランニング技能士検定試験対策講座の講師をしておりますが、先日はタックスプランニングの話でした。ここでは税金といっても、ほぼ所得税の話になります。
所得税はほぼ個人(自然人。これと対照するものとして法人税)に対する税金なのですが、法人税と違い、税率がいろいろとあるのです。超過累進課税といって、所得が高ければ高いほど(稼げば稼ぐほど)税率は高くなっていきます。
それだけではなく、所得(稼ぎ方)によっては分けて税金を計算する場合があるのです。これが分離課税です。
億トレーダー
分離課税の代表的なもの。株式などを買った時より高く売って儲かった時。世の中には、証券取引所に上場されている株式をインターネット(パソコンやスマートフォン)上で売買し、1年間で億を超える儲けを出す億トレーダーと言われる人々が存在するようです。
このような方々には私も憧れましたし、少々、挑戦したこともあるのですが、想像以上に厳しい世界です(楽して儲かることはない。まさにそのとおりです)。
株式の売買以外で儲けた場合、税金はどうなるでしょうか。例えば、個人で運送業を営んで、売上収入が2億円。運転手の給料やガソリン代、トラックを購入し、維持管理などの経費として1億円。差し引き1億円の儲けがあったとします。
この場合、単純計算すると所得税は100,000,000円×45%-4,796,000=
40,204,000円となります(実際は所得控除というものがあり、もう少し少なくなります)。復興特別所得税は除きます(以下同じ)。
億トレーダーの場合はどうでしょうか?株を売った収入が2億円。買った金額が1億円。運送業者方と同じく差し引き1億円の儲けがあったとします。この場合の税額計算は選択方法にもよりますが、100,000,000×15%=15,000,000円
なお、運送業の方は1年間の所得(儲け)を計算して、申告書を提出して納税しなければなりません(総合課税)が、億トレーダは証券会社が儲けを計算してくれます(分離課税)。
同じ金額を儲けても納税額と手続きにこれだけの違いがあるのです。
相続した土地を売った人
年金暮らしでほとんど収入がない人。実家の親が亡くなって土地や家を相続しましたが、空き家で手入れもできないので売ることにした場合。田舎ですが、土地は広く、昔に比べて開発された地域である場合。
そこそこの金額(例えば5000万円)で売れたとしたら、先祖代々からの土地ならほとんどが儲け(値上がり益)になります。この場合も長期譲渡所得金額に対する税率15%が適用されます(分離課税)。
これが運送業のような個人事業で儲けた(例えば、同じく所得5000万円)なら、税率は45%です。
ほとんど収入がない人の、1回きりの売買の儲けに対する税率が15%で軽減されるのは理解しやすい?かもしれませんが、億トレーダの税率も15%。
分離課税。なかなか奥が深いと思いませんか?