仏教上の四苦とは
みなさんは四苦八苦という言葉を聞かれたことがあるとおもいます。大谷大学のホームページの門脇 健教授のエッセイから抜粋すると、「四苦とは生(しょう)・老(ろう)・病(びょう)・死(し)、八苦とは愛別離苦(あいべつりく)<愛するものと別れる苦>、怨憎会苦(おんぞうえく)<怨み憎まねばならないものと会う苦>、求不得苦(ぐふとっく)<求めて得られない苦>、五蘊盛苦(ごうんじょうく)<総じて人間の活動による苦>の四苦に先の生老病死の四つを足して八苦。」
中でも、最初の四苦、生(しょう)・老(ろう)・病(びょう)・死(し)を今回は考えてみたいと思います。日蓮宗のホームページ上の記事によると、「四苦とは生老病死です。人は生まれる場所、条件を選べません。人は必ず歳を取り老います。そして病気にもなります。やがて寿命がくれば死に至ります。この四つが人間の根源的な苦しみであると説きます。
公的保険との関係
私はカルチャーセンターで3級ファイナンシャル・プランニング技能士の試験対策講座の講師をしておりますが、まず、大項目6つの単元のうち、最初のライフプランニングというところで公的保険の説明をします。ここで私は公的保険は、人生の四苦に対応しているのではないかと考えたのです。
順不同となってしまいますが、まず「老」。老いる苦しみ。人間誰しも老いてしまえば若い時のように働いて稼ぐことはできません。これに対しては老齢年金が手当されています。次に「病」。病気やケガをすると通常必要ない大きな治療費や後遺症によって若くても働けなくなる恐れもあります。
場合によっては、人の手を借りる(介護)必要も生じます。
これに対しては、障害基礎、(国民)健康保険、介護保険が手当されています。
次に「死」。死んでしまうことにより、遺族の生活が脅かされる恐れがあります。これに対しては、遺族年金が手当されています。最後に「生」ですが、これは私なりの解釈が難しかったです。
ですが、「人は生まれる場所、条件を選べません。」ということから、いわれる「親ガチャ」ですかね。これに対しては、義務教育無償化、就学支援金、高等学校授業料免除、奨学金制度、生活保護制度といったところでしょうか。これも広い意味でとらえれば、公的保険といえなくともないと思います。
保険とはなんだろう?
こうして考えてみると、社会保険が充実している日本は、やはり仏教思想が根付いており、アメリカなどのキリスト教の国は自己責任が大きいと考えるのは少し思想が飛躍し過ぎでしょうか。民間の保険であれば西洋から流入しているのですから。
最後に保険の本質について考えてみたいと思います。私の好きな作家である橘玲氏は著書の中で保険とは不幸の宝くじであるとおっしゃっています。ある不幸な条件を予測してそこにお金を賭ける。その条件に当てはまったら当選。賞金を得ることができる。
細かいことを言えば、終身保険や生死混合保険の養老保険は保険の本質からは外れると思います。いずれにしても、保険に加入するのは掛け捨てが当たり前で、もし、返戻金を狙うのなら投資をした方がいいということですね(一部投資のような保険もあります)。