酒税の税率も変わります。

インボイスだけではありません。

10月からインボイス制度がスタートし、ニュースの数も増えてくると思いますが、実は酒税も地味ながら税率が変更されます。私は税理士試験の税法選択科目で酒税法を選択し、合格しました。

実務上、ほとんど利用することなく、受験のためだけというのがみえみえではありますが、お酒を飲む人(私)にとってはなかなかおもしろかったので、書いてみたいと思います。

 

酒税のしくみ

まず、お酒ですがアルコール度数1度以上の飲料で、この酒類を4種類に分類し、品目ごとに細分して税率を定めています(基本は1kL(1000L)あたり何円)。私が勉強しているころとは変わっており、例えば、以前はビールという分類があったと思いますが、現在はビールは発泡性酒類という区分に分類されています。

ビールは原料比率に厳格な規定(麦芽・ホップの使用)があり、税率も高かったのですが、それを逆手にとり、ビールに区分されない原料比に下げるなどして、ほぼビールと変わらないテイストにししつも、税率を大幅に下げることができました。

これを契機に国税庁は税負担の不公平感をなくすという、名目の下で平成29年度に酒税改正をしたのです(以下は国税庁の説明)「類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、税収中立の下、酒税改正を実施します。」。

これにより、10月からビール(麦芽使用比率50%超)の酒税が500ml缶で100円から90.5円に。麦芽やホップを使わず、大豆などを使ってビール風味に近づける新ジャンルといわれる発泡性の酒税が500ml缶で54円から約67.1円に。

他にも清酒(原料が米)と果実酒(ワイン:原料が果物)の税率も清酒が1升1.8L198円が、ワイン1.8L162円がともに180円に変更になります。清酒が減税、ワインが増税となり、税率が同じになるということです。

 

 

 

 

酒造メーカーの納税

酒税は間接税ですから、実際に税務署に税金を納付するのは酒造メーカーです。これは非常に厳しい内容ですのでご紹介しておきます。私が酒税法の勉強をして、まず暗記した条文が、「酒類の製造者は、その製造上から移出した酒類につき、酒税を納める義務がある」です。

お酒を造った者はその製造について、免許を受けているか否かにかかわらず、作った酒をその製造場から出してしまったらその時点で酒税の納付義務があるのです。

そして、酒を製造場から出した日の属する月の翌月末日までに、その製造場を管轄する税務署に酒税を計算して納付しなければならないのです。製造場から出荷して翌月末までには売れようが売れまいが、税金を納付しなければならないのですから、酒類製造者はよほど資金力に余裕がなければなりません。

 

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